2018/05/29

今後インシリコデータは、AI-SHIPSウオッチャーとして活動致します

 インシリコデータはAI-SHIPSプロジェクトの一員として一年ほど精力的に活動しておりました。 AI-SHIPSプロジェクトは経済産業省(METI)の目玉プロジェクトとして、最近急速に展開されている人工知能(AI)技術を用いて、インシリコ技術による毒性評価を行なうプロジェクトとして発足致したものです。

 化合物毒性評価をインシリコで行なうための基本技術は「計算機毒性学(Computational Toxicology)」であり、最近急速にその重要性が高まっております。 また、計算毒性学は典型的な複合領域研究であり、様々な分野の研究が複雑に関与してきます。日本では、この研究を実施する研究室が存在しなかったのですが、インシリコデータの湯田はCBI学会に「計算毒性学研究会」を発足しました。 現在、4年目になりCBI学会中心にフォーカストセッション等を主催し、日本国での計算毒性学の普及を目指して活動しております。

 インシリコデータは前記AI-SHIPSプロジェクトに参加し、計算毒性学の適用に関する選考解析や意見交換、アドバイス等行なってまいりました。 しかし、このような提言やアドバイスがAI-SHIPSプロジェクトの事務方が設けた様々な制限事項により十分な形で実行できない状況となりました。 結果として、今後はインシリコデータとしてシステム構築等に関する提言をAI-SHIPSプロジェクト内では出来ない状況となりました。

 AI-SHIPSは国民の税金を用いた国のプロジェクトです。 インシリコを用いた化合物毒性評価には様々な技術の適用が必須です。 中途半端な状態で開発すると、毒性的にも、化学的にも、データ解析的にも、人工知能技術的にも様々な点で齟齬が出て、失敗プロジェクトとなり、国費の無駄遣いとなります。 このような事は防ぐことが必要です。

 上記の観点で、インシリコデータは今後AI-SHIPSウオッチャーとして、AI-SHIPS内部からではなく、外部から提言や様々な点検をし、議論等してまいります。 化合物毒性評価システムは、様々な技術を融合する事が必要な高度融合システムです。 大事な国費を費やして構築する国のプロジェクトが、中途半端な機能や化合物の誤認識や誤予測をするようなシステムとなることは防がなければなりません。 従いましてインシリコデータは今後、AI-SHIPSプロジェクトを外部から評価する正当な第三者機関として活動いたします。

 よろしくご支援いただきたく存じます。

湯田 浩太郎