インシリコ毒性スクリーニングに関するみんなの広場


 

          
 CBI学会に新たに設立されました「計算機毒性学(Computational Toxicology)」研究会は、日本で最初の計算毒性学研究会として、多くの方々の注目を浴びております。

 「計算毒性学」研究会では化合物毒性に関する様々な問題を、研究会に参加された多くの方々と一緒に討論、勉強、情報交換する場の提供を目指します。
 本研究にご興味のある方々は、研究分野、研究内容、業務内容、スキルレベル、その他の様々な違いがあっても特に問題がありません。「計算毒性学」はその特徴から、様々なバックグラウンドを有する方々に集っていただくことが重要です。少しでもご興味がありましたならば「計算毒性学」研究会に参加いただければと思います。
 研究会の活動内容や、詳細なスケジュール等はキックオフミーティング時および以降の会議や皆様からのご意見等を参考に、順次決定いたしまして「計算毒性学」研究会のネットワーク等に報告させていただきます。順次関連情報等は本ブログにても公表させていただきます。

 計算機毒性学研究会に参加ご希望の方は、以下の「計算毒性学研究会設立報告および参加のお願い」をご一読ください。本資料に書いてありますように、参加のご意向を連絡いただければ、手続きさせていただきます。

2014/07/23

化学工業日報紙に「計算毒性学」研究会の記事が掲載されました:In Chemical Daily newspaper, the report of "computational toxicology" workshop was published

 化学工業日報紙(2014年7月17日付け、第6面)に、「計算毒性学」研究会の記事が掲載されました。


 記事では、日本初の「計算毒性学」研究会として紹介されています。是非ご参照ください。


 残念ですが、欧米と比較して日本における「計算毒性学」に関する取り組みは、一周どころか何周も周回遅れをしながら、現時点で何も対応できていないというのが現状です。この現状は、日本の学会に「計算毒性学」という言葉や項目が年会やJournal発表での分野リストにないことでもわかります。このために、「計算毒性学」関連研究発表は、関連する項目や言葉に関連付けて、無理に提出しているのが現状です。

 ちなみに、"computational toxicology"の単語と「計算毒性学」の単語をGoogleで検索すると以下のような結果となりました。
"computational toxicology" ----> 47,100  
 「計算毒性学」-------------------->     369

* 割合(日本/世界):369/47,100 = 0.78%
* 倍率(世界/日本):47,100/369 = 127.6倍

 この事実はWEB上で展開されている「計算毒性学」関連の情報絶対量が、世界(実質的には欧米)と比較して日本は1%にも満たないということがわかります。これは、日本国内における「計算毒性学」に対する取り組みが欧米と比較して極めて貧弱であることを、数値で示しています。
 昔と異なり、現在のようなネットワーク社会では、Googleのような世界に張り巡らされた情報網での検索ヒット数はそのまま現在社会のトレンドを反映していると言えるでしょう。是非とも日本のヒット件数を世界に負けないようにして、逆に最新情報を世界に発信できるようにしたいと考えます。

文責 湯田 浩太郎
7月23日

2014/07/01

八月にチェコスロバキアで開催されますWC9のPredictive Toxicologyにてポスター発表いたします。

 8月24日(日)-28(木)にチェコスロバキアのプラハにて開催される
9th World Congress on Alterna­tives and Animal Use in the Life Sciences (WC9)のsession II Predictive Toxicologyにて、
 湯田がポスター発表いたします。

 ポスタータイトルは ”Development of in silico (computational) toxicity screening methods” で、 内容はKY法のオーバービューと、毒性評価という難しい問題に対して適用された場合の適用事例等について発表します。
 化合物の毒性評価は、データ解析という観点一つからみても極めて対応困難な問題が多数存在します。 このような問題に対して、汎用的な問題解決用に展開/開発された従来手法をそのまま適用した場合、データ解析結果や予測等は満足な結果が得られません。 結果として、多くのWET研究者の期待に答えられず、最悪の場合はWET研究者からの信頼を得られない結果となります。

 KY法は化合物毒性評価にて起用されることを目指して開発された、全く新規の考えに基づくデータ解析手法:詳しく言えばデータ解析手順、です。 従来手法を用いて、KY法の手順に従ってデータ解析を行なうと、従来手法をそのまま用いた時では達成できない様々の特徴を有するようになります。 例えば、二クラス分類ではサンプル数がどんなに増えても常に完全分類が達成されます。これ自体従来手法の範疇で考えた場合、驚異的なことです。 また、重回帰手法では従来手法の重回帰と比較してKY法を取り入れた重回帰は極めて高い相関係数や決定係数を実現する事が可能となります。

 WC9では、上記のような様々な特徴を有するKY法のレビューと毒性評価への展開例を説明し、KY法が世界を舞台に展開されるように世界の研究者に訴えてきます。

以上

2014-7-1
文責:湯田 浩太郎