先日、CBI学会の執行部会において、「計算毒性学(Computational Toxicology)」研究会の設立が承認されました事を報告いたします。
これにより、学会の承認を得て「計算毒性学」を標榜しつつ活動する国内初の研究グループが結成されました。 今後は「計算毒性学」に興味を持つ多くの方々の支援を受けながら、日本に「計算毒性学」という新しい学問分野を築き上げてゆく段階に突入することになります。
この研究会の特性上、「毒性」という言葉に関係する多くの方々に参加いただきたく考えます。 医農薬関連研究者の方々、様々な機能性および一般化合物の開発や製品評価に関連する研究者の方々、環境関連の生態毒性関連研究に携われている研究者の方々、動物愛護の観点から動物実験をせずにin vitroやインシリコで実験される化粧品関連の研究者の方々、バイオ関連で遺伝子情報と毒性との関係を研究されている方々、さらには化合物関連の規制関連当局に関与される方々と、多くの研究者に参加いただければと存じます。
名称は「計算毒性学」ですが、この研究分野は一つの研究領域だけで構成されるものではなく、様々な研究内容や領域が交雑する典型的な境界領域研究です。 従いまして、コンピュータや毒性関連研究者のみならず、関連する様々な研究領域の方々の参加をお待ちいたします。 例えば、化学とコンピュータを結ぶ計算機化学(Computer Chemistry)や計算化学(Computational Chemistry)、毒性試験に関する様々なデータを扱うデータ解析、新規のin vitro実験開発を目指す研究、最新のhiPSC(人iPS細胞)を用いて実験をされている研究者の方々、遺伝子と毒性の関係を追及するトキシコゲノミクス、環境関連のハザードや評価関連の研究、さらにはアレルギーや副作用等の治療に従事される研究者の方々等です。 「毒性」に関連する領域は極めて広く、このように様々な研究バックグラウンドを持つ方々が忌憚なく意見交換が出来ることが、極めて重要と考えております。
上記に書きましたように、様々な研究分野の研究者が集えて、相互に情報を交わし、討論が出来、わからないことや質問等を気軽にかわすことの出来る雰囲気を持った研究グループの構築を目指して頑張ります。
以上
文責:湯田 浩太郎